事業主の皆様へ採用選考の具体的な方法

1採用選考のための社内体制

  • 採用選考の担当者のうちの一人でも、就職差別につながるような不適切な対応を行えば、企業全体の社会的な信頼を失いかねません。担当者全員が『公正な採用選考』の考え方を理解し、それを実行するような社内体制(『公正採用選考システム』)を整えましょう。
  • 『公正な採用選考』のための社内体制は、責任の所在の明確化、マニュアルやガイドラインなどによる全担当者への周知徹底、採用選考の方法や基準などに関する点検や修正のしくみなどに配慮して整備しましょう。

2採用基準・選考方法

  • 労働者の募集を行うに当たっては、あらかじめ、適性・能力に基づいた「採用基準」を明確化しておきましょう。※出自、障害、難病の有無及び性的マイノリティなど特定の人を排除しないことが必要です。
  • その上で、適性・能力を客観的に評価する「選考方法」をとりましょう。

3求人の提示

  • 企業が求職者に提示する「求人」の中で、職務を遂行するために必要な適性・能力以外の要素を「労働者に求める応募条件」としないようにする必要があります。

4応募の受付け(応募書類・エントリーシート)

  • 応募者から提出させる応募書類には、就職差別につながるおそれのある事項を含まないものを用いましょう。

適正な応募用紙

応募用紙については、適性・能力に基づいた基準による採用選考を行うためのものとして、次のように定められていたり推奨しております。

①新規中学校卒業予定者

新規中学校卒業予定者については、全国的に定められた「職業相談票(乙)」を使用しましょう。

②新規高等学校卒業予定者

新規高等学校卒業予定者については、厚生労働省、文部科学省及び全国高等学校長協会が協議して定めた「全国高等学校統一用紙」使用しましょう。

③新規大学等卒業予定者

専修学校、高等専門学校、短期大学、大学の新規卒業予定者については、統一的な応募様式は定められていませんが、厚生労働省では、就職差別につながるおそれのある事項を除いた「新規大学等卒業予定者用標準的事項の参考例」を示していますので、これに基づいた応募社用紙(履歴書、自己紹介書)、または、「厚生労働省履歴書様式例※」を推奨しています。

④一般求職者

新規学校卒業予定者以外の応募者については、「厚生労働省履歴書様式例※」を推奨しています。

  • エントリーシート(インターネットによる応募用入力画面)においても、就職差別につながるおそれのある入力項目を設定しないようにしましょう。

5学力試験・作文

  • 学力試験・作文を行う場合、応募者が、求人職種の職務遂行上必要な適性・能力(知識)をもっているかどうかを判断するための方法として適当かどうか検討しましょう。
  • 作文を書かせる場合は、「私の家族」「私の生いたち」等本人の家庭環境にかかるものや、思想・信条を推測させるものをテーマとしないようにしましょう。

6適性検査

  • 「職業適性検査」「職業興味検査」「性格検査」などを用いる場合は、目的に応じて適切な種類の検査を選んだうえで専門的な知識と経験をもった人が用いるようにしましょう。
  • 適性検査の結果を絶対視したり、うのみにしないようにしましょう。

7面接

  • 面接における質問事項はあらかじめ決めておきますが、その内容は「職務遂行のために必要な適性・能力」を評価するために必要な事項とします。
  • 面接の中で、家族のことをたずねる事案が大変多く見られます。就職差別につながるおそれのある事項をうっかりたずねることがないよう、公正採用選考の基本的な考え方を十分理解しておくことが必要です。
  • 面接は、応募者の基本的人権を尊重する姿勢、応募者の潜在的な可能性を見いだす姿勢で臨みましょう。
  • 複数の面接担当者で面接する場合は、全員で公正採用選考の考え方に基づいた対応ができるよう、改めて確認・徹底し、意思統一を図っておきましょう。
  • 面接における応募者に対する評価は、あらかじめ評価基準を決めておき、できるだけ客観的かつ公平に行いましょう。

8採否の決定(内定)

  • 採否の決定は、本人が求人職種の職務を遂行するために必要となる適性・能力を有しているかどうかという観点で、あらかじめ定められた基準にしたがって総合的に評価しましょう。